「たとえ」というのは難しいもので
目の前の人との共通認識のある
テーマじゃないと途端に色味を失う。
今日は、そんなアナロジー(類推)が
うまく活かせなかった時の
AI活用法をご紹介します。
「AIは全人類をDJにする」
いま一つピンとこなかったんですね。以下の産経新聞による Yahoo ニュースの記事。
慶応大の徳井直生(なお) 准教授の言葉。なんとなく、言いたいことはわかるんだけど。
4月25日に東京都内で開かれた科学メディア「MITテクノロジーレビュー」主催イベント「生成AI革命」では、講演で「生成AIは全人類をDJにする」と発言。その意味を「これからの人類には、AIへの指示で既存のコンテンツを組み合わせ、新しい表現を生み出すDJのようなセンスが求められる」と説明した。(記事より引用)
この記事の発言は、徳井さんが AI を用いたアーティストとしての活動をしており、実際にDJとしてのリアルタイムな合成パフォーマンス活動をしているというベースがないと???ってなる。以下の記事も併せて読むと、ようやくしっくりくる。
記事「素人・詳しい人・プロの違いと、それを打ち破るAI」
先日、上記の記事を書いた。
職業柄、生徒さんの理解のために「たとえ」を多用するんだけど、なかなか腹落ちさせられない自分の「たとえ力」のなさにとことん疲れる時もある。そのうまく例えられなかった経験と、ブログを書き続けたおかげで、今は自分の中に多くの「たとえ」がストックされている。
おかげで、「めちゃくちゃわかりやすかったです!」と言われる確率が上がってきた。これは、純粋に嬉しい反応です。
AI が言語化をサポートする時代
共通認識が「共通」として共有されていないと、冒頭の例えのような「AIは全人類をDJにする」の真意が掴めない。
僕がこのワードに疑問符をもったのは、この例えを用いることで「おそらくDJという活動の中にあるクリエイティブな面を表現したいと思っているんだろうけど、僕はDJの活動の創造性というのがどういう部分にあるのか、よく理解していない」ということ。
そこで、ChatGPT に聞いてみた。
「生成AIは全人類をDJにする」との発言がありました。これはどういう意味で用いたものだと推測されますか?
「生成AIは全人類をDJにする」との発言は、AI(人工知能)が持つ「生成」の力について表現されたものと考えられます。
「生成AI」は、人工知能が自動的に新しいコンテンツを生成する技術のことを指します。例えば、文章、画像、音楽などを自動で生成することができます。これにより、それまで専門家やプロの領域であったものが、AIを使えば誰でもが生成できるようになります。
この発言の「全人類をDJにする」という部分は、一般的には音楽の選曲やミックスを行うDJを指すと思われますが、この場合はメタファーとして用いられています。つまり、AIの力によって誰もがコンテンツを自由に生成し、組み合わせることができるようになる、という意味合いで使われたと推測されます。
具体的には、AIが生成した音楽や画像を、自分の感性や趣味に合わせて選び、独自の作品を作ることができるようになる、ということを指していると考えられます。
私はDJではないので、このメタファーがDJがその仕事をやる喜びや、使命などのどの部分を表現しているのかがよくわかりませんでした。DJは、他人の楽曲などをアレンジしたり、曲順を入れ替えたりすることで、何を表現したり、どんな上達・成長感を得ているのでしょうか?
DJは音楽の選曲、ミックス、演奏の仕方で、観客やリスナーとのコミュニケーションを図り、場の雰囲気を作り出す役割を担っています。その過程でDJ自身は、観客の反応を見ながら音楽の流れをコントロールするスキルを磨いていきます。また、自分の感性やセンスを反映させることで独自の音楽空間を創り出すことが可能です。これは、他人の作った楽曲を単に流すのではなく、自分自身の解釈や表現を加えて新しい形に再構築するという、クリエイティブなプロセスでもあります。
生成AIについて「全人類をDJにする」と表現されたのは、このDJの役割や楽しさ、成長感を引き立てるためと思われます。AIがコンテンツを生成する技術の発展により、ユーザーは自分の感性や思考を反映させたり、独自の組み合わせを試みたりすることで、自分だけのオリジナルな作品を創出することが可能になる。これはまさにDJが音楽を扱うのと同じような感覚であり、AIがユーザーにDJと同じようなクリエイティブな体験や成長の機会を提供するという意味合いが含まれていると推測されます。
すごいよね、DJ自体に漠然と抱いていたクリエイティブな側面もわかりやすい。
とことんハラ落ちるまで言語化すると記憶は自然についてくる
僕は、このブログを通して「言語化」のトレーニングを行なっています。
受講生さんに対して話したこと、うまく説明できなかったこと、そういったことを言語化にトライしていく。次はもっとうまく話せるように。
以前から、この分野では読書がめっぽう強いと思っていた。なぜならば、本というのは「自分がなんとなくは理解しているけど、まだ言語化できていないこと」だけが分かるツールだからです。自分が生まれてからこれまで蓄えてきた知識と経験を、総動員して読むのが本です。
自分より、自分の言葉をうまく表現している誰かの言葉にふれて、「ああ、僕が言いたかったのはこういうことだ」と気づく。だから「なんかこの人いいこと言ってんな〜」という人の言葉を引用しても、自分の思いと合致していないと「スカスカ」な言葉として伝わる。
ところが、この分野に AI というツールが急遽参入してきた。
自分の言語化をとことんハラ落ちするまで、付き合ってくれるツール。
まとめ:人類の新しい思考のためのツール
AIの出現によって、こうして僕たちの理解のスピードが飛躍的に高まっている一方、中身のない記事が量産されている、とも言われています。
それは、記事の作成を指示した「人」が自分の中でハラ落ちしていない「魂」の入っていない言葉を紡いでいるからかもしれません。AIと共に、言語化力を磨いていきましょう。
この5月から、AI を僕と共に学ぶ人たちのオンラインスクール AICLASS(アイクラス)という場所をスタートさせました。毎月月末から月初にかけて、新規メンバーの募集を行なっています。
説明会は以下日程で開催しています。
2023/6/27(火) 12:00〜13:00
2023/6/28(水) 20:00〜21:00
2023/6/29(木) 13:00〜14:00
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