楽読という「読む」の教室をやっている。
速読か?と聞かれれば、1時間に1冊
読めるぐらいには速くなる
教室と答えている。
なぜなら「速い」のは、むしろおまけで
それ以外の受講生さんの反応の方が
面白いと思えてしまう。
その一つに受講生さんが口々に言う
「視力が上がった気がする」という感想
から浮かび上がる意外な効果に
ついて今日はお話しします。
#感想には個人差があります
脳が創り出すアップスケールされた視界
以下は、2日前にポストされた GIGAZINE さんの記事です。一言でいえば「見える」というのは、レンズとしての「目」だけではなく、その目を通して捉えた絵を解釈する「脳」によって決まるよ、と言う内容です。
そして、その中で紹介されている動画がこれです。28秒ぐらいからが面白い。
脳の画像処理を体感する日本語モザイク画像
日本語でも試してみようと、モザイク画像を作ってみた。
これと見ると、真ん中あたりの文字とか、最下段の文字は潰れていてなんと書いてあるか分からない。カタカナはなんとなく識別できそうなレベルだ。この引きの画像が以下です。
この文章は、僕の Kindle 電子書籍の「はじめに」の項ですが、ここまで引くとモザイクにも関わらず何が書かれているのか読めると思います。先ほどの文章が、「奇しくもその影響で〜テレビ会議システム〜」あたりの文章であったことがわかります。特に「その」の「そ」の字はひょっとしたらカタカナの「モ」に見えていたかもしれませんし、「会議」の「議」の字は明らかに潰れていたのに、今は読み取れます。
くっきり魅せる「AIアップスケーラー」と言う技術
アップスケーラーとは、ぼやけた写真をクリアにする技術だと思ってください。
AIアップスケーラーを使うことは、ある意味で、ぼやけた小さな写真をクリアな大きな絵に変える魔法のようなものです。普通の虫眼鏡を使って小さな写真を大きくすると、写真はぼやけてしまいます。しかし、AIアップスケーラーは特別な虫眼鏡のようなもので、小さな写真を大きくしながら、その写真をはっきりと、細かい部分までくっきりと見せることができます。
この「魔法の虫眼鏡」(AIアップスケーラー)は、たくさんのクリアな大きな写真を見て、それらから学びます。すると、小さくてぼやけた写真をどうやってクリアな大きな写真に変えられるかがわかるようになります。それから、新しい小さな写真が来るたびに、それをクリアな大きな写真に変えることができるようになります。
つまり、AIアップスケーラーはたくさんの写真を見て学び、その知識を使って新しい写真をきれいにすることができるスマートなツールです。これにより、元々の小さくぼやけた写真よりも、はるかに詳細で美しい写真を得ることができます。
例えば、上の写真は左側がアップスケール前、右側がアップスケール後です。特にセーターの部分の再現度が明確ですよね。
AIアップスケーラーと同じことが頭の中でも起きている
恋は盲目、、、とはよく言ったもので(笑)大好きな人の姿は他の人にどう見えていようとも、かわいく、美しく映ります。想い出は美化される、、、なんてのもその一つでしょうか?
つまり、感情や記憶、そしてそれを引き出す脳の性能によって目の前の現象、事象はその詳細度を変えているのです。
キヤノンのデジタルカメラに搭載されている DIGIC をご存じでしょうか?まさにこの画像処理プロセッサーに相当する処理が脳の働きになります。
https://global.canon/ja/technology/dslr2021s.html より掲載
つまり、キヤノンのカメラが同じレンズを使用しても、画像がどんどんきれいになっていったり、iPhone のカメラの画像がどんどんきれいになっていくのは、レンズだけでもないですし、解像度(4032 x 3024 など)だけでもないということです。ハードウェア(レンズや本体)とソフトウェア(DIGIC の「独自のアルゴリズム」)の組み合わせによって、進化しているのです。
速読やって「視力が上がった気がする」理由
記憶というのは、思い出そうと思って思い出せる記憶と、思い出そうと思わないのに思い出してしまう記憶があります。
日本語の文章が読めるのは、実は「思い出そうと思わないのに思い出してしまう記憶」を使っているからです。でも、子供の頃はそうじゃなかったはずです。ひらがなが読めないときは一所懸命この字は何だっけ?と思い出していたはずです。ひらがなが意識しなくても読めるようになると、今度は漢字もたくさんあって、え~っとこれってどういう意味だったっけ?とがんばってきたと思います。
ところが、そこを抜けると文章の漢字がくっきり見えなくても文章が「勝手に」読めてしまいます。逆に、読まないでください、と言われても読んでしまう。
だから、活字慣れ、文章慣れしている人の方がよりくっきりはっきり見えるというのは、まさに脳内の「ソフトウェア」的な処理が向上したから、ということです。
もちろん、僕がインストラクターを務める「楽読」では眼筋のトレーニングをしているので、多くの人はこれで「視力が上がった気がする」と思いがちですが、こうした読書経験から繰り出される文体の記憶が無意識に引き出されるからこそ、視力が上がった気がするのです。
まとめ:本を読むと上がる解像度は目だけじゃない
想像してみてください。
これが、文字がくっきり見えるだけだと思いますか?僕はそうは思いません。たくさんの文章に触れて、たくさんの物語に感動して、感性を高めた人は、きっと誰かの境遇や感情に触れたときに「よりくっきり」とその人の感じている世界を「脳内再現」できるはずです。
先日、芥川賞作家となられた九段理恵さんの「東京都同情塔」。今この本を読んでいます。そして、犯罪者を収容する施設である建物になぜ「同情塔」という名前が付けられているのか、いまそんな部分を読んでいます。
小説なんて時間のムダ。そう思っていた僕が、なぜ今小説を人に勧めているのか?それは、目の前の人の人生ストーリーの解像度をアップスケールするためなのです。なぜなら、その方がきっともっと仲良くなれるし、その人のことを好きになれるだろうから。
あなたの会社の上司・部下、友人、奥さん、子供。なぜかコミュニケーションがうまくいかない…。そう思ったら、読むべき本は自己啓発書や、話し方、聞き方のテクニックの本ではないのかもしれません。アップスケールできる脳をつくるための(速読…もできちゃう)「読む」の教室、「楽読」では雑談の時間にそんなこともお伝えしています。
2024年は、もっと人に寄り添える自分にアップデートしませんか?ご体験を心よりお待ちしています。
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