塩梅は「しおうめ」ではありません(笑)
「あんばい」というやつですが
いわゆる「加減」のことですね。
今日はコンピュータと塩(Salt)と
AIの創造性の話です。
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それって、ずるくないか?
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そりゃぁ、ずるいですよ。AIアート。そもそもアートって呼ぶのはどうなん?って言われるくらい。
だって、何時間もかけて一つの作品をかき上げるアーティストさんがいるのに、たかだか1分や2分で、コンピュータに絵を描かせてるんでしょ?
そう、そうなんですけど、僕も「ずるい感じ」がしてるのは事実です。じゃぁ、この「ずるい感じ」ってどこから来てるんだろうな?と感じるわけです。
かけた時間に価値を感じる脳の働き
かけた時間に価値があると感じるのは、行動経済学で「イケア効果」と呼ばれる心理現象です。この効果は、人が時間をかけた物事に対して、通常よりも価値があると感じること、だそうです。ちなみに、このイケアは組み立て家具大手の「イケア」に由来しています。
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ということを早速先日有効になった Google の SGE(Search Generative Experience)によって教えてもらいました。ずるいですかね?これも(笑)
僕も11年にわたって書道を目指した時期があって、手書きでじっくりと筆を使い文字をかくということには一つのこだわりを持っています。では、ずっと筆で墨で書いてるのかっていうと、そうじゃない。選択肢としてのパソコンがあったり、選択肢としての書道があったりしています。
塩を振るという創造性
どこかで書いたことがある気がするんだけど。
コンピュータにとって、「でたらめ」をつくるのは実は難しいのです。
コンピュータの中では、乱数(らんすう)という「でたらめ」な数が欲しい時があります。でも、コンピューターはこの「でたらめ」を計算によって作り出すので、何度も繰り返しているとそこに規則性が生まれてきます。
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ゲームで敵の出てくる場所が、いつも同じところから出てきたら「予想」できて面白みがなくなりますよね。
だから「でたらめ」にしようと乱数を使ったはずなのに、コンピューターが生み出す乱数は予想がついてしまったりする。(だから疑似乱数と呼ばれます)そんな「でたらめっぽい」を「でたらめ」にするために、塩(Salt)を振ります。
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(えいやっ!)
といっても、コンピューターに塩を振ったら錆びるので(笑)計算をするときに、この情報も使ってね!という別の情報を渡します。
例えば、今の時間が、2023/9/9 08:01:32 だったら、この秒部分の下一桁の 2 を使ったりします。これだったら、今計算するときに必ず2秒なんてことはないから、時間ごとに「でたらめ」になるでしょ?こういうときに渡してるのを Salt って呼びます。
AIの面白いところって、この「でたらめ」さ加減と、僕たちが加える Salt の塩梅によります。
例えば、最近作成した画像生成AIによる「ホーンテッドマンション」をテーマにした画像では。
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こんな感じに、100枚ぐらい画像を出力させているんです。その時には、「言葉」を与えます。これがいわゆる塩(Salt)ですね。
haunted mansion, eerie silhouette against full moon, ghostly apparitions drifting, creaky gates, tangled vines creeping, windows with flickering lights, distant echoes of laughter, chilling, timeless mystery
訳)ホーンテッドマンション、満月の背景に浮かぶ不気味なシルエット、漂う幽霊の姿、きしむ門、這い上がる絡まったつる、チラつく灯りの窓、遠くから聞こえる笑い声、冷え冷えとした不可解な謎
テイストは似るけど全く同じ写真は二度と出ない。そこに、言葉を足したりするんです。ちなみに、途中(24枚目ぐらい)からは屋内になるように言葉を調整してます。満月やシルエットなどの言葉を除いたり。
選び取るという創造性
何かを足したり、引いたりするのが創造性って思えるかもしれませんが、「選び取る」というのも画像生成AIの世界では立派な創造性です。こっちより、こっちのほうが好き、とか。
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だって、この絵なんて面白いとおもいませんか?すごく美しい女性が、3本の手で立っている様子。
AIで画像生成していると、こういった多指、多腕の画像がたくさん出てくる。通常はこうした画像はボツになるんですが、「ホーンテッドマンション」というテーマでは創造性の一つになる。
この画像生成に関して手をどうしてほしい、という言葉のインプットはしていないんです。でも、これが面白いから採用するという判断は僕が下すことができる。それって、一つの創造性、なんだろうと思います。
まとめ
コンピュータが持つ、大量生産とばらまき力(下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる)に、「言葉によって方向性を定める」という創造性と、「自分が『快』を感じる画像を選び取る」という創造性。
が加わることで、これはもう一つのアートだと思っています。
でもね、やっぱりどこかで思うのです。一所懸命絵を描いている人を目の前にして、これがアートです!っていうのって「それって、ずるくないか?」って。そこにはやっぱり、時間をかけた価値というのもあって、そこをひけめに感じている自分もいます。
まぁでも、オリンピックやパラリンピックのように、階級が分かれたり補助器具を使うこととして、受け入れられていくんじゃないかなぁって思います。少なくとも、これを始めることで、いままで繋がれなかった人と繋がれるようになったのは事実です。
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テーマを選んだり、表現を考えるうえで、これまでの読書力が大いに役立っていることも。この「ひけめ」を壊してくれる価値観を表す「言葉」も、いずれ本を通して手に入れていくことができるのだと思っています。
そんな、読書体験を通して新しい自分に出会う速読スクール「楽読」をやっています。画像生成AIについて聞きたい方、読書がどう自分を変えていくのかを知りたい方は、ぜひ「楽読」体験会の門を開いてみてください。👇👇👇
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