脳とAIの響宴~無意識スキルを開放し、思考の自由を取り戻す方法

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「無意識スキル」と「外部化スキル」の境界線

実は最近、ある方との個別セッションで「AIを使うと基礎スキルが衰えませんか?」という質問を受けました。この質問、表面的には「計算機に頼ると計算力が落ちる」というよくある懸念のように聞こえますが、実はもっと深い問いかけが隠れているんです。

まず考えたいのは、僕たちが「無意識下に落とし込むべきスキル」と「外部化してもいいスキル」をどう区別するか、ということ。これまでの常識では「九九は完璧に暗記すべき」「基本的な英単語は瞬時に出てくるように」という教えが当たり前でした。でも、AIという”外部脳”が身近になった今、その境界線が大きく変わりつつあるんです。

そのポイントを探っていくと、そこには”自動化の価値”、”認知的余裕の確保”、”創造的思考のための基盤”という三つの要素があるように感じます。これって、AIと共存する時代だからこそ、改めて考えるべきテーマですよね。

自動化の価値:脳の「指揮者モード」を解放する

「九九を覚えてないと計算ができない」というのは、ある意味では正しいんです。基礎的な掛け算が瞬時にできないと、もっと複雑な数学的思考に進むのが難しくなります。九九を覚える、というのは二つの数字が目の前に提示された時に自動的に計算してしまう状態を頭の中に作ること、つまり無意識下で計算できてしまう力を手にいれることを意味します。

でも、ここで大切なのは「なぜ自動化が必要か?」という視点。

自動化の本当の価値は、単にスピードアップするためではなく、脳を「作業モード」から「指揮者モード」へと解放することにあるんです。僕が速読を学んだときに気づいたのは、文字を認識する作業が自動化されると、内容の本質や関連性を見出す余裕が生まれるということ。つまり、基礎スキルの自動化は、より高次の思考のための土台なんですね。

今ならわかります。
✅ 僕が算数を苦手になって行った理由が、脳の自動モードで計算できる基礎力をつけていなかったこと
✅ 僕が英語を苦手だった理由も、脳の自動モードで英単語を引き出せなかったこと
✅ 僕が読書を苦手だった理由も、脳の自動モードでスラスラと読める速読力をつけていなかったこと
✅ 僕がパソコンを得意になった理由も、脳の自動モードでタイピングできるようになっていたからだったこと
これら全てが、脳を自動モードで動かすことに関連しています。

九九の例でいうと、「7×8」を計算するたびにスマホに頼るのではなく、「56」が自動的に頭に浮かぶようになると、その先の「56という数字がもつ意味」や「それを何に応用できるか」といった高次の思考に意識を向けられます。

認知的余裕の確保:DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)の活性化

以前のブログでもお話ししましたが、僕たちの脳には「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」という、休息中に活発になる神経ネットワークがあります。特定の作業に集中していないとき、このDMNが勝手に情報を整理したり、新しいアイデアを生み出したりしてくれるんです。

ここで気づいたのが「基礎スキルの自動化」と「DMNの活性化」は密接に関係しているということ。例えば、そろばんの達人は計算自体に意識を向けず、数字の意味や関連性を自由に思考できます。それと同じように、基本的な英単語が自動的に理解できれば、文章の細かいニュアンスや背景にある文化的意味合いに意識を向けられるんですね。

AIを使うことで「思考の逃げ場がなくなった」と感じる瞬間が増えたという話も以前にしましたが、逆に言えば、適切に基礎スキルを自動化しておけば、AI時代だからこそ認知的余裕が生まれ、DMNがフル活用できるということでもあります。

適度なスキルの自動化は、頭に余白を与えてくれるんですよね。何かを一生懸命に思い出そうとしているときよりも、むしろサラッと思い出せるときのほうが、その先のアイデアが浮かびやすいことはありませんか?

速読によって読書スキルが身につくと、自動的に読んだ本の話を覚えていられるようになり、自動的に別の本を読んだ時に他の本のあるシーンが浮かんだりするようになります。つまり記憶の記銘(覚えること)と想起(思い出すこと)が自動化されます。これは、本が読めない、本を読むことに抵抗があったときには思いもよらないことでした。

創造的思考のための基盤:AIと脳の新しい関係性

ここからが本題です。AIがあれば九九を覚える必要はない?英単語は調べればいい?——ある意味でそれは正しいかもしれません。でも、僕が提案したいのは「AIと脳の役割分担」という新しい視点です。

以前は「基礎スキルをすべて自分の頭に入れる」ことが前提でした。しかし、今は「何を自分の無意識下に落とし込み、何をAIに任せるか」を戦略的に考える時代。ただ闇雲に「すべて覚えよう」とするのでも、「すべてAIに任せよう」とするのでもなく、最適なバランスを見つけることが大切です。

そして、ある分野においては何かを成し遂げるのに必要な基礎スキル自体がAIに依頼したタスクに取り込まれてしまうので、基礎スキルの学習自体を永遠に放棄することも可能です。

ある分野の基礎スキルを永遠に放棄した人を見た時、それが、あなたが一所懸命取り組んできた基礎スキルによって、成し遂げられるものだった時には、あなたには怒りに似た感情を抱くかもしれません。「こんなの基礎だろ?」って。

最近の AI アートに対して、これまで描くことを生業にしてきた人は、許せない感情が湧くかもしれません。でも、同時に、12色の色鉛筆で無限の表現を描いてきた人にとっては、120色の色鉛筆は「色を混ぜ、色彩感覚を磨く」という基礎スキルを放棄した、と見るかもしれませんね。

でも、その世界を深く知ろうと思った時には、無意識化する基礎スキルが必要でしょう。だから、これからの時代、自分は何を深く知りたいのだろう?と自分が本当に好きなこと、携わるだけで価値があると思うことにこそ、基礎スキルを磨く時間を当ててほしいと思うのです。

例えば「よく使う英単語トップ100」は無意識に出てくるまで自分で練習し、「専門用語や難しい表現」はAIを活用する。「基本的な九九と簡単な足し算引き算」は自動化し、「複雑な計算」はツールに任せる。そんなハイブリッドな付き合い方が、これからの学習スタイルになるんじゃないかと思うんです。

AIに代替できない「身体性を伴うスキル」の重要性

もう一つ見逃せないのが、「身体性を伴うスキル」の価値です。例えば、そろばんのように指を動かしながら計算したり、手書きで文字を書いたり、発音しながら外国語を学んだりする方法は、単なる”インプット”を超えた学習効果があります。

デジタルデトックス、という言葉をよく聞きますが、それは「デジタルが悪」というわけではなく、僕たちの脳と身体が持つ本来の力を思い出すための時間なんだと思います。AIを使いこなすためにこそ、身体性を伴うアナログなスキルを大切にしたい。

そんな視点から考えると、例えば「手書きでメモを取る習慣」「声に出して読む練習」「リズミカルな運動をしながら考える時間」など、デジタルでは代替できない体験が新たな価値を持ってくるんです。

「弱点」を逆転させるキーはAIとの共創

このブログでは「AIと言葉の力で弱点を逆転する」というコンセプトを掲げています。一見、「基礎スキルが十分身についていない」とか「AIに頼りすぎている」みたいな状況は弱点に思えるかもしれません。

でも実は、この”弱点”があるからこそ、AIとの新しい関係性を探求するきっかけになるんです。「九九の半分しか覚えていない」という状態は、逆に言えば「効率的な記憶戦略を考える力」の表れかもしれません。AIを上手に使いながら、本当に自分の無意識下に落とし込むべきスキルを見極める。そんな共創関係こそ、現代ならではの知的活動の形だと思感じます。

「私、基礎スキルが苦手で…」と悩んでいるなら、それは逆に言えば「クリエイティブな思考が得意」であることの裏返しかもしれません。基礎の一部をAIに任せることで、あなたならではの発想力を解放してみてはどうでしょうか?

まとめ:無意識スキルとAIの響宴で脳の自由を取り戻す

九九の半分しか覚えていないという例から探っていくと、そこには「何を自分の無意識下に落とし込み、何をAIに任せるか」という重要な問いが浮かび上がってきました。これは単なる「楽をするか、頑張るか」という二項対立ではなく、脳の力を最大限に発揮するための戦略的な選択なんです。

無意識スキルの自動化により「脳の指揮者モード」を解放し、認知的余裕を確保することでDMNを活性化させる。そして、AIとの適切な役割分担と身体性を伴うスキルの維持という観点から、新しい学習と思考のスタイルを構築していく——。

弱点に感じている部分を隠さずに、AIを上手に取り入れたり、あえて自分で鍛えたりをコントロールしてみる。やりたくてやっているからこそ、自分の楽しみ方を見いだせるんだと思います。たとえば「暗記は苦手だけど、イメージで覚えるのは得意」とか「計算は苦手でも、図形的な理解は得意」など、自分らしい認知スタイルを大切にしていいんです。

AIという新しいパートナーを得たからこそ、僕たちの脳は本来の創造性を取り戻せるかもしれません。AIに頼る部分と自分の無意識に委ねる部分を戦略的に考えながら、あなたにしか見えない世界、あなたにしか生み出せない”オリジナルの発想”をどんどん育てていきましょう。

さて、いかがでしたか?ぜひ、皆さんの無意識スキルとAIの関係性について聞かせてくださいね♬

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この記事を書いた人

ジーニーのアバター ジーニー スピリITエヴァンジェリスト

「自力と他力、二つの力が共鳴する時、未来は無限に広がる」。テクノロジーとスピリチュアルの世界を統合し、その力を最大限に引き出す方法を伝える情報を提供しています。「わたしならできる」という自力、「あなたを数百数千倍に輝かせる」テクノロジーという他力。自分を信じ、テクノロジーを活用する一歩を踏み出しましょう。

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