あなたは小説で泣いたことはありますか?
そもそも小説を読みますか?
僕の速読スクール受講生さんから
「ブログでオススメされた小説
『52ヘルツのクジラたち』読みました。
泣きました!」とのご報告。
今日は「いや、私小説苦手なのよね〜」と
いう3年前の僕に対して
「え!それなら小説読んでみよっかな?」
となるようなお話をしますね。
小説で泣きました
飛ばし読みでもナナメ読みでもなく、熟読で今のあなたの2~7倍の速度で本が読めちゃう速読スクール「楽読」のインストラクターをやっています。
ちょっと、アレ?と思ったと思います。速読講師が「味わって読む」ハズの小説を薦めるだなんて。
でも、僕たちの「楽読」は、本を速く読むのはテクニックじゃなくて、脳の力で引き出すものだと考えています。それも、現代人が偏りがちな左脳中心な脳を、左右バランスよく使うことによって、感性と右脳を同時に鍛えながら早く読む方法です。
だから、
「ブログでオススメされた小説『52ヘルツのクジラたち』読みました。泣きました!」
なんてご報告も来るんですね。
今から言えばお恥ずかしい話なんですが、小説?そんなの時間の無駄じゃん。って思っていました💦作家の皆様本当にごめんなさい。
今は罪滅ぼしに、「小説いいよ~!」って薦めて回っておりますので、作家の皆さんご勘弁ください。ということで、今日は、「実は、小説は『フィクションであるほど共感力が磨かれる』5つの理由」についてお話します。
実は、小説は「フィクションであるほど共感力が磨かれる」5つの理由
小説には、フィクション(作り話)とノンフィクション(実体験・史実に基づいて)の2通りがあります。
僕は、この二つの中で特にフィクション(作り話)小説をオススメしてます。なぜなら、実は小説は「フィクションであるほど共感力が磨かれる」からなんです。その理由は、
- キャラクターの内面に触れるから
- 異なる背景や状況を体験するから
- 感情移入するから
- 道徳的・倫理的な問題に主観的・客観的に向き合うから
- 想像力が育成されるから
1. キャラクターの内面に触れるから
フィクション小説では、キャラクターの感情や思考、動機などの内面が詳しく描写されることが多いです。ノンフィクションでもキャラクターの視点に立つことはできますが、史実や記録などに依存するため、フィクション小説ほど内面の葛藤などがありありと描かれることは少ないのです。
映画化もされた小坂流加さんの「余命十年」。フィクションですが、この作品は小坂流加さんのノンフィクション小説なのだと思います。胸中の葛藤がこれでもか、というくらい描かれており、時折苦しくなるぐらいの主人公の感情を感じました。作者の命を余命の中で削りながら文字に起こしたのだろうと想像に難くありません。ですが、こうした作品は自分を題材にするあまり、数多くは生み出せないだろうな、と感じます。
読者はキャラクターの視点で物語を体験することで、そのキャラクターの感情や考えに共感することができます。登場人物のAさんから、Bさんへ、視点を移して考えられるのはフィクション小説ならではです。
2. 異なる背景や状況を体験するから
小説はさまざまな背景や状況、時代、文化の中での物語を提供します。これにより、読者は自分の経験や背景とは異なる状況やキャラクターの感情を理解することができます。
今回、受講生さんからの感想は、まさにこれでした。
本屋大賞受賞の作品「52ヘルツのクジラたち」は、虐待やLGBTQを扱った作品です。受講生さんには、そういった経験がありませんでしたが、この本を読んだ後にはそうした人が、自分の周りにいること・どう感じて今を生きているのか、といったことに少し共感ができるようになります。
幼少期に虐待されたことがない人が、本人の苦しみを大人になった今から体験することはできませんが、作品を通してそのような人が抱える悩みや葛藤を、少しでも想像することはできるようになります。
多様性を受け入れる際に、フィクション小説ほど適した教科書はありません。
3. 感情移入するから
物語の中での出来事やキャラクターの選択、結果に対して、読者としてのあなたは感情的に反応します。これにより、あなたは自分自身の感情や反応を理解するとともに、他者の感情や反応にも共感することができます。
ベストセラー作家 喜多川泰さんの小説に「ソバニイルヨ」という、お父さんが作ったちょっとヘンなロボットと少年の心温まる作品があります。
主人公の少年には、最近素行の悪い友人が居て、なにかと少年に絡んでくるのです。そして、少年が一緒に遊んでいたロボットを壊そうと、その悪い友人が一瞬手を出そうとしますが、ふと何かに気づいてそれをやめるシーンがあります。
何に気づいたのでしょうか?
それは、ロボットから二本伸びた足が、排水管でよく使う塩化ビニル製のグレーの太いパイプでできていたからです。その子の家は水道屋さんでした。親の仕事で使われる「塩化ビニル製のパイプ」が使われているロボットを、親の仕事に泥を塗るような行為としてどうしても壊すことができなかったのでしょう。
主人公にも感情移入できるし、絡んでくる友だちの感情にも共感できる名シーンです。ぜひ、この作品は皆さんに読んでほしい一冊です。
4. 道徳的・倫理的な問題に主観的・客観的に向き合うから
多くのフィクション小説は、道徳的や倫理的な問題を取り上げます。これにより、読者は自分の価値観や信念を再評価することができ、他者の視点や考え方を理解する機会となります。
平野啓一郎さんの「本心」。表紙からは想像つかないストーリーでした。
時は近未来、大切な母を亡くした主人公が、バーチャルお母さんを作ってもらうというところから話は始まります。このお母さんは、生前の情報や、依頼者である主人公の記憶から再現した仮想のお母さん(VF:バーチャルフィギュア)であり、本人ではありません、と説明を受けます。
話しかければ、非常に自然に受け答えをしてくれます。ーーただ、”心” はありません。会話を統語論的に分析して、最適な返答をするだけです。(中略)興醒(ざ)めかもしれませんが、どれほど強調しても、お客様は途中から、必ずVFに “心” を感じ始めます。
はたして、そんな仮想の母親を作ってよいものか?という道徳的・倫理的な問題に僕らは向き合うことになります。いまでは、「話しかければ、非常に自然に受け答えをしてくれます」というのは、ChatGPT に感じるものです。この作品は初出2020年7月30日でした。
ChatGPT が世に出る2年以上前に、この問題に向き合うのは、それを研究していた研究者か、こうしたフィクション小説を読んだ人たちだけだったでしょう。
5. 想像力が育成されるから
フィクション小説を読むことで、読者は物語の世界やキャラクターを想像することが求められます。この想像力は、現実の世界で他者の立場や感情を想像する能力とも関連しています。
「謎の殺人ウイルスが世界を分断する」なんていう世界線は、2019年までは本当に作り話だったワケです。
でも、そんな世界を想像の世界で経験していた人もいるでしょう。その想定外を想像する力が、窮地を脱する力になる可能性があります。「人は想像できることならば、実現することができる」と言われています。
さぁ、なんでも思い描けるとしたら、あなたは何を描きますか?
まとめ
今日は、「小説はフィクションであるほど共感力が磨かれる」5つの理由として、
- キャラクターの内面に触れるから
- 異なる背景や状況を体験するから
- 感情移入するから
- 道徳的・倫理的な問題に主観的・客観的に向き合うから
- 想像力が育成されるから
というお話をしました。
速読すると本を味わえなくなるからイヤだ
という方もいるのですが、速読を知ってしまった僕としては逆でした。だって、小説なんて読まなかったんです。読まない人が味わうもなにもない(笑)
本を読めるようになって、たくさんの本を読んで、多くの世界線と価値観に触れて。手にとった1冊の小説は何十倍、何百倍ものサブストーリーや価値観を感じながら読める自分ができ上っていた。
ぜひ、ご紹介した小説を手に取って、共感力を磨いてみてくださいね。ただ、僕はすべての速読法がこの共感力を得られるとは思っていません。たまたま出会ってしまった「楽読」という速読スクールが、どこよりも「感性」を磨くことを重視している教室だからこそ、小説にも速読の良さを見出せたのだと思います。
楽読にも興味を持ったあなたは、ぜひ一度体験を受けてみてください。LINE公式から、お問い合わせの方には特別価格での体験会をご案内します。
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